Evine's Words エビンズワーズ

ロングセラー著者であり英語塾を主宰する講師エビンの英語情報&英文法学習ブログ *叱咤激励、ご質問、ご相談など、ご自由にコメント欄に残してください。

助動詞の誤用例と学習法

Hi、皆さん、エビンです。

 

今日も誤用例クイズシリーズです。

evine.hatenablog.com

 

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僕が主宰する「やりなおし英語JUKU」に通う社会人の生徒(30~50代)たちによる英文法の誤用傾向に基づき、英語初級者(中学英語の一般的な基礎内容は理解しているレベル)が勘違いしがちな「助動詞の使い方」を、みなさんにクイズ形式でご紹介します。

 

 

クイズは全部で6問。生徒の正答率は・・・クイズの後で発表します。早速、トライしてみましょう!

 

助動詞の誤用例クイズ

Q. 文法的に正しい、または場面として自然な表現を1つずつ選びましょう。

(1)「スタジアムはここから遠くないはずだよ」

The stadium [ must not / can’t ] be far from here.

(2)「英語のテストでAを取ったんだよ!—すごいなぁ、きっと君は一生懸命勉強したんだね」

I got an A on my English test! – Wow, you [ might / must ] have studied hard.

(3)「僕も髪切るべきかなぁ?—いやぁ、大丈夫そうだよ」 [ Should / Must ] I get a haircut, too? – Nah, you look fine.

(4)「300万ドルを、あなただったらどうする?」

What [ would / will ] you do with 3 million dollars?

(5)「電車が遅れていたのですが、なんとかその試合に間に合いました」

My train was late, but I [ was able to / could ] make it to the game.

(6)「それは君のだよ。名前が書いてあるからね」

It [ could / must / might ] be yours. It has your name on it.      

 

 

 

Answer Key

今回は正答率 約10%のクイズでした。

早速答え合わせをしていきますが、正解していても解説にあるポイントに一致していない場合はNGですね。

 

(1) The stadium [ can’t ] be far from here.

【可能性の否定 正答率 6%】

 

「…することができる」という意味で「能力」として馴染みのある助動詞canには「弱い可能性」を表現する働きがあります。これを否定すると「可能性の否定」=「…であるはずがない」という表現になり、文意よりこれが正解です。

 

「must not+動詞の原形」は「…しないこと」をmustで義務化するため「禁止」(…してはいけない)の表現になり、文意に合わず誤りです。

 

(2) I got an A on my English test! – Wow, you [ must ] have studied hard.

【過去の可能性 10%】

 

問題(1)のcanと反対に、mustは「自信のある強い可能性」を表現することができます。さらに、今回は文意より過去の話であることがわかります。

 

実は助動詞自体にも「時制」の感覚はあり、基本的には「現在」または「未来」の話をするのが助動詞です。そのため過去の話をする場合のために「助動詞+完了形(have+過去分詞)」のカタチがあります。ただ用法は限られており、基本は「過去における推量」(あの時〜だっただろう)を示す目的で使います。

※「能力」用法の助動詞canはcouldで「…することができた」という過去形があります。

 

今回であれば「must have+過去分詞」で「(あの時)きっと…しただろう(…したに違いない)」という意味になり、1文目からの文脈と文意よりこれが自然です。

 

ちなみに、might(…かもしれない)は「半々の自信」でどちらかという否定的な感覚で可能性を表現しますので今回は文意に合わず誤りです。

 

(3) [ Should ] I get a haircut, too? – Nah, you look fine.

【アドバイスを求める 32%】

 

文意より単純に相手に「アドバイス」を求めている場面です。このような場面ではmustではなくshouldを用いるのが自然です。

 

「…しなければならない」という日本語は比較的幅広く使える表現ですが、これを単純にmustで置き換えることはできません。mustは強い「必要性」を伝える響きがあり、場合によってはとても大げさに聞こえますし、You must ...などと言えば相手との関係によっては「命令」表現になります。

 

例えば、何らかの頭髪規定などがあり、本当の意味で「義務的」に散髪を考えるような場面であればmustはOKです。shouldも必要性のニュアンスがありますが、するしないは相手の自由という意味で相手に選択の余地を与えている印象があり、響きはそこまで強くはありません。

 

ちなみに他の問題と比較して、正答率が高くなりましたが、Must I ...?というカタチを見たことがないからという理由でshouldを選んだ方が多かったようです。

 

(4) What [ would ] you do with 3 million dollars?

【現実とは距離を置く仮定法過去 6%】

 

文法的にはwillでも構いません。実際に、300万ドルを相手が持っていて、さあ、何に使う気なんだ?と興奮気味に話しているシーンであればOKです。

 

ですが、残念ながら300万ドル、日本円で3億円というのはたいてい現実的ではありません。このような非現実的な感覚は、「現実との距離感」が出せる過去形を用いて表現でき、これを文法的には仮定法過去と呼びます。文意からも、willをwouldにしたものを今回は正解としました。

 

(5) My train was late, but I [ was able to ] make it to the game.

【過去に実際にできたこと 4%】

 

「能力」用法のcanの過去形couldは「過去に所有していた能力」を示し、もっと具体的に考えると「(あの時、あの頃)…しようと思えばできた」という意味です。つまり、今回のように「実際に1回…できました」という意味では「was/were able to+動詞の原形」で表現します。

※make it to ...(…に間に合う、…に参加する)

 

(6) It [ could / must / might ] be yours. It has your name on it.

【自信のある可能性 8%】

 

2文目でしっかりと理由を述べていますから根拠があって自信のある可能性を表現するmustが正解です。問題(2)とも比較してください。

 

残ったcouldもmightも可能性を表現できますが、

問題(2)でも開設したように、might(…かもしれない)は「半々の自信」でどちらかという否定的な感覚で可能性を表現します。couldも同様でmightと文法的には言い換えること可能ですので、共に文意に合わず誤りです。

 

 

助動詞の「やりなおし」学習ポイント

 

前回の「時制」は「時」だけではなく、話し手(書き手)の「感覚」も合わせて表現する動詞のカタチの話をしました。今回の「助動詞」は、動詞の意味に、話し手(書き手)の主観的な気持ちを加える働きをします。

 

時制を工夫するだけでは対応できない状況描写や話し手(書き手)の感情表現も助動詞によって可能にするため、より自然な発信をするために欠かせないものですが、その使い分けに悩む学習者は多いものです。

 

まずうまく使えない原因として、日本語の意味に重きを置いて学習していることです。英単語も同じですが、どんな場面で、誰に対して、何をどんなふうに伝えるのか、そうした会話での使い方が十分にイメージ、理解できていなければ知識は知識のままで終わります。

 

例えば、問題(3)のshouldであれば、日本語訳「…するべきだ」と覚えてしまうと、少しエラそーな響きで敷居が高く使う機会が少ないような気がします。ですが、shouldを用いる目的に焦点を当てて、「相手にアドバイスを与えたい時(または自分がアドバイスをもらいたい時)」と考えるだけでshouldを用いる機会が増える気がしますよね。

 

また助動詞が難しい原因の1つに用法の多さもあります。文法書や辞書を引けば1つの助動詞に対して、実に様々な用例がありますが、最初からそれをうまく整理し運用するのはかなりハードルが高いものです。そこで、問題(3)(6)のように、助動詞の「可能性」と「必要性」の表現を軸に学習するのがオススメです。さらに、この2つのポイントは、「強弱」で整理できます。1例を挙げておきましょう。

 

「可能性」を表現するmustとmightが持つ響きの「強弱」を比較してください。

(A) Jack must be in London. I just got a text from him.(ジャックはきっとロンドンにいるよ。彼からちょうどメールをもらったんだ)

(B) Jack might be in London, but I’m not sure.(ジャックはロンドンにいるかも、でも自信ないなぁ)

 

どちらも助動詞で「事実」の「可能性」を表現したものですが、日本語も参考にすると同じ助動詞でも確信度(気持ち)の「強弱」が異なるのがわかります。まず英文(A)の助動詞mustは「こうだから、こうなる」という流れで根拠に基づく強い可能性を表現したものです。今回であれば2文目がその理由を示す情報になっています。一方、英文(B)の助動詞mightは「ひょっとしたら…ではないかもしれない」という否定的な感覚で話し手(書き手)の弱い可能性を表現したものです。but以降で確信のなさが示されています。

 

このように似たような用法を持つ助動詞はぜひ響きの強さで整理をしてみてください。

 

Thanks for reading!