Evine's Words エビンズワーズ

英語学習書籍『Mr.Evineシリーズ』ロングセラー著者であり英語塾を主宰する講師エヴィンの英語学習や出版情報&英文法学習ブログです。見出し以外にもカテゴリーより記事をご覧いただけます。 *叱咤激励、ご質問、ご相談など、ご自由にコメント欄に残してください。

中学英文法の復習 #10 助動詞 must/have to vs. should

Hi、皆さん、エビンです。

 

Happy Halloween!

今回も中学英文法の復習をやっていきましょう。前回に続き、助動詞です。

evine.hatenablog.com

 

 

助動詞

状況に合わせた主語の「気持ち」を動詞に加える助動詞を扱います。日本語で押さえることも一つの学習方法ですが、「状況」を意識した使い分けにこだわることで、より一層、実際の会話や読解で役立つ知識へと変化していくはずです。

 

例題Q.1

自然な文意になるように適切な形を選びましょう。

(1) Did you ( must / have to ) see a doctor?

(2) You ( shouldn’t / have to ) buy the ticket.  It’s too expensive.

 

義務のmust/have to

(1) 「…しなければならない」という意味でお馴染みの助動詞musthave toです。共に「義務」のニュアンスを動詞に加え、後ろには動詞の原形が続きます。日本語は同じですが、少々堅いmustに比べ、日常会話ではhave toのほうが使用頻度は高いです。

 

さて、問題(1)のポイントですが、決め手は時制です。結論から言えば、mustには過去形がありません。問題文はDidを用いた過去の内容を尋ねる疑問文ですから、この時点でmustは誤りということになります。一方、have toはhave→hadで過去形had to(…しなければならなかった)にできるため、これが正解。

 

Q.1 (1)正解:Did you have to see a doctor?(医者に診てもらわなければならなかったの?)

※疑問文のため原形have toに戻ります。

 

ちなみにhave toは文法的にはread(読む)やeat(食べる)のような一般動詞として扱われ、疑問文や否定文はdo/does/didを用いた形になります。なお、mustや次に説明するshouldは完全な助動詞ですから、「助動詞+主語+動詞の原形 …?疑問文「助動詞+not+動詞の原形」否定文になります。

 

アドバイスのshould

(2) 次に助動詞shouldの代表的なポイントを押さえましょう。shouldは「(当然)…するべきだ」という意味で、日本語としては少し強い印象があるのですが「…したほうが相手にとって良い」と思われる状況で「アドバイス」としてよく用いられます。

ここではtoo expensive(高価すぎる)という文脈から「買わないほうが良い」というアドバイスをしていると考えて否定文shouldn’t(=should not)の形が自然です。一方、have toを用いると「買わなければならない」という義務のニュアンスが発生し、話の流れにまったく合わず不適切。

 

Q.1 (2)正解:You shouldn’t buy the ticket.  It’s too expensive.(そのチケットを買うべきじゃないよ。高すぎるよ)

 

辞書などの例文で、それぞれの助動詞が使われている状況を小まめにチェックしましょう!

 

例題Q.2

日本語の意味になるように最も適切な表現を1つ選びましょう。

「これを使わないといけませんか?―いや、その必要はないよ」 

Do I have to use this? – No, you ( mustn’t / shouldn’t / don’t have to ).

 

must not vs. don’t have to

must、have toは「義務」として基本的にはほぼ同じニュアンスとして言い換え可能ですが、否定文になるとそうはいきません。次の意味の変化に注意しましょう。

 

否定形

must not+動詞の原形

…してはいけない

禁止

don’t/doesn’t have to+動詞の原形

…する必要はない

不必要

 

つまり、仮にNo, you must not.とすれば「いいえ、してはいけません」「禁止」の意味になるため文意に合いません。そこで、have toの否定文であるNo, you don’t have to.とすれば「いいえ、する必要はありません」という意味でまさに文意に一致するわけです。これが正解。ちなみにshouldn’tは「…するべきじゃない」という意味でこれも文意に合わず誤りでした。

 

Q.2 正解:Do I have to use this? – No, you don’t have to.

※toの後ろにuse itが省略されています。

 

notの否定範囲がポイント

ではなぜこのような意味の違いが出るのか、must not/don’t have toそれぞれのnotの位置に注目してください。notの否定範囲は「notから後ろ」になっており、次の例文であれば<   >の部分が否定されると考えてください。

 

(a)  You must not <stay here>.(ここに滞在してはいけません)

(b)  You do not <have to stay here>.(ここに滞在する必要はありません)

 

義務を表す助動詞must/have tonotの否定範囲に入っているか否かがポイントです。つまり、英文(a)ではmustが否定されていないため、stay hereしない」ことを義務化されるため「ここで滞在してはいけない」という禁止ニュアンスになるわけです。

一方、英文(b)は義務have toが打ち消されているところに注目です。stay hereしなければならない」という義務を否定され、義務がないので「ここに留まる必要はない」という不必要ニュアンスが生じるわけですね。

 

発展クイズ

文意に合うようにもっとも適切な形を1つだけ選び、英文を完成させましょう。

You ( had better / You should ) visit Kyoto.  You can see many traditional buildings.

 

「had better+動詞の原形」もshouldと混同される注意すべき助動詞の関連表現です。

 

had betterは「…したほうがよい」という意味でよく押さえられていますが、実際のニュアンスにはこの日本語ほど軽い感じではありません。その行動を起こさなければ不都合や不利益が生じるような状況で本来は用いられるため、相手との関係によっては「脅威」的な印象を与えます。「…しなさい、さもないと~」というニュアンスが含まれるわけです。

 

今回の場合、「京都観光」をしない、というだけでそれほど深刻な事態になるとは思えません。かなり大袈裟です。一方、「お薦めだよ!」とアドバイス感覚で用いることができるのがshouldで、これが自然で正解でした。

 

※自分に対してや、相手と親しい間柄であればhad betterもshouldのように「アドバイス」的な感覚で用いることもあります。また口語ではYou’d betterまたはYou betterのようにhadは短縮または省略されることがあります。

 

正解:You should visit Kyoto.  You can see many traditional buildings.

日本語訳例:京都に行った方がいいよ。たくさんの伝統的な建物を見ることができるからね。

 

Thanks for reading!