Evine's Words エビンズワーズ

英語学習書籍『Mr.Evineシリーズ』ロングセラー著者であり英語塾を主宰する講師エヴィンの英語学習や出版情報&英文法学習ブログです。見出し以外にもカテゴリーより記事をご覧いただけます。 *叱咤激励、ご質問、ご相談など、ご自由にコメント欄に残してください。

長文読解と英文法指導の結びつけ方

Hi、皆さん、エビンです。

 

今回は、英語指導者向けの内容ですが、一般の学習者にとってもお役に立てる内容だと思います。

どんな英語学習の方向性でも、英文法知識の重要性は変わりません。教える側は常に意識しているわけですが、入試自体が年々、長文読解が主流(語数も多い)になっていく中で、授業で扱う長文の中で、どう英文法を生徒に学習させるのか、教え手の課題になっているところがあります。実際、僕のところにも長文読解と英文法の紐付け方に関する相談はとても多いです。

 

今回はこの点に関しての考え方を少し整理したいと思います。特別なことを書くわけではありませんが、最低限意識したいことをお伝えします。

 

 

英文法を学習する目的意識

みなさんもご存知の通り、今、必要な「文法力」というのは、「文法問題を解くことができる力」ではありません。

数多くの文法問題に当たっている受験生であれば、パターンに慣れるにつれ、表面的な知識だけでとりあえず正解がわかってしまうようになります。正解したけども、実はわかってないことは多々あります。

 

なぜこの場面で筆者はこの英文法(この書き方)を使用しているのか、について考える生徒はほとんどいません。大学入試だけでなく高校入試も直接文法知識を尋ねる設問は年々減少し、それよりも限られた時間の中でいかに効率的に正解に必要な情報を正しく拾い上げ、分析できるかが問われるようになってきました。

 

文法を意識しなければどうなるのか

長文演習において、正解はできていても、実際はたいして読めてない生徒は多いですね。フワフワと感覚で読んでいる生徒が多く、内容一致問題や要約問題で正答率は全く安定しません。間違えた設問で、正解のキーとなっている英文や段落を示すと、生徒自身もそこに注目していたりするのですが、正確に意味が取れない生徒が多いのです。

 

読解のための文法知識がなければ、書き手のテーマや意図は正確にはつかめないということですね。そこで意識的に精読を実践することが重要になってきます。

 

精読と多読

多読は、英語長文を読むスピードと、解くスピードを上げることを目的とします。

多読は精読と違い、細かな文法はあまり気にせず大量の英文を読むため、英文に慣れ、読むスピードUPの効果は期待できます。また、覚えた単熟語に触れて自然の流れで生きた使い方を学び自分のものにすることができますし、多読によって英文に対するストレス耐性を養うと同時に、色んなジャンルの英文に触れ、背景知識を幅広く持っておくことはリーディングにとても有益です。

 

 

普段の目的

長文読解演習

精読

読解力を上げる

設問に関する箇所を正確に理解し正答率を上げる

多読

経験値を上げる

全体のテーマや流れの把握、精読すべき箇所のスキャニング

 

精読ができなければ多読はできませんので、初期段階では一度精読をした文章を多読する流れが良いと思います。精読の事前準備として、英文法の基本的な知識は読解に欠かせませんが、英語力のベースとなるコア英文法を厳選している拙著「Mr.Evineの英語塾 コア英文法」(ベレ出版)がお勧めです。日本人の弱点傾向を押さえた効率の良い英文法学習が可能です。

 

 

運用力を意識しながら、演習量をこなせるドリルであれば、「コア英文法」との相乗効果が期待できる拙著「Mr. Evineの中学英文法修了 解きまくり問題集」(アルク)もご利用ください。

 

精読で重視するポイント

多読を中心に行うと、生徒は勉強した気になる、わかった気になっているだけの生徒も多く、文構造を気にしなくなるため読解力は確実に落ちていきます。そこで、教室では精読中心のトレーニングで良いと僕は考えています。精読をさせる箇所は次のポイントを意識すると良いと思います。

 

  • 筆者が読者に伝えたいテーマに触れ、説明している箇所
  • 筆者が読者になぜそのテーマを理解させたいのか、その目的が書かれている箇所
  • リーディングの文脈を理解する上で押さえておきたい各段落の最初と最後の1、2文

 

意識したい英文法は次の通りです。

  • 主語と動詞の把握(=文型と品詞の区別、動詞の語法)
  • 句と節(不定詞、分詞、関係詞など形容詞句・節による後置修飾は特に重要)

 

やはり一番は、読解のとっかかりになる主語と動詞の把握です。

普通の英文法問題では主語と動詞はある程度わかりやすく示されていますが、読解の中では筆者のスタイルやテーマによって語順が色々と変化しますので、生徒たちは主語を見抜くこと自体が苦手です。また、SVやSVOなどの文型記号よりも「名詞(主語)+自動詞」、「名詞(主語)+他動詞+名詞(目的語)」と品詞の語順で文構造を理解することが重要ですから品詞の働きも同時に理解しておく必要があります。

 

句と節において、名詞+説明表現(後置修飾)の語順も生徒はあまり意識できていません。不定詞、分詞、関係詞それぞれに文法的な特徴はありますが、名詞を後ろから説明をするという1つの目的に注目すれば生徒は読みやすくなります。名詞は主語、目的語、補語と色んな機能があり、それら全てに関わってくる後置修飾は解釈上大切です。

 

最終的には英語をそのまま読めるように

純粋に英語力をアップさせるためには英語に触れることが大切で、精読トレーニングは結局のところ英語を英語のままで多読する機会につなげることが理想です。多読では戻り読みをせず、「意味のカタマリ」を意識して読むことが重要ですが、直感的に意味のカタマリを掴めるようになるには、やはり精読で養われる文型、品詞などで語順感覚が大切です。

 

多読によって、英語らしい語順の感覚が実践で磨かれますし、数多くの単語や熟語、表現に触れ経験値が増えます。読んだことがある、見たことがあるは英語の運用力向上につながります。知的好奇心を満たす言葉の出会いを持つ機会がリーディング素材に溢れているわけですから、英語を英語のまま存分に味わえるような精読トレーニングを僕も継続していきたいと思っております。

 

最後にお勧めのreading素材をご紹介しておきます。

英語学習者向けの英字新聞です。英検準2級以上のレベルを目指す方はぜひ。

政治、ビジネス、環境、科学、スポーツ、芸能など国内外の色んなジャンルの記事が、これまたちょうど良い分量で掲載され、適度な日本語注釈もあり、とてもバランスがとれた教材になります。Webサイトも併用すれば、質の高い英語が学べます。

 

Thanks for reading!